生活に支障があれば手術を

 ●薬では治りません。手術は外来で30分(鼻茸)

 鼻茸(はなたけ)とは、鼻の粘膜の一部が風船のようにふくらんで鼻腔内にたれさがったものをいいます。こんにゃくのようにぶよぶよした塊ですが、大きいものでは親指大のものもあり、多数できていることもあります。鼻茸は、小さいうちは症状が出ないので気づかないことがほとんどで、通常、鼻の奥のほうにできるため外からは見えませんが、ある程度の大きさになると、鼻づまりの症状がでて、入口から見えてきます。
 鼻のポリープは、きのこのような形をしているので「鼻茸」という名前がついています。
 ポリープのできる主な原因は、ほおの下の骨の洞穴(上顎洞)や、目と鼻の間の洞穴(篩骨洞)などの粘膜が炎症を起こし、ポリープを作り、そのポリープが洞穴との交通路を伝って鼻の気道にでてきて、鼻の道すじを塞ぎ、鼻づまりを起こします。
 慢性の鼻炎や、ちくのう症の患者さんに多くみられますので、ポリープがある場合、慢性鼻炎や、ちくのう症を疑ってみる必要があります。
 レントゲンを撮って調べると、鼻のまわりの洞穴にウミの影が見えるとちくのう症です。ちくのう症を手術でしっかり治すと、ポリープも同時に取り去られますが、成長過程にあるお子さんの場合は、症状が重い場合を除いてはちくのう症の手術をしませんし、ちくのう症が軽い場合は、鼻のポリープだけを取る比較的簡単な手術を行ないます。
 手術は、局所麻酔で行ない、ポリープの数や大きさなどの程度にもよりますが、およそ30分程で、入院の必要もなく外来で行ないます。手術後は、止血用のガーゼが鼻につめられていますので、多少の息苦しさを感じますが、手術後約1週間で鼻から抜き取ります。その際鼻づまりが消えているのを感じると思います。 鼻のポリープは内臓のポリープと違い、ガンとの因果関係はほとんどありませんので、鼻づまりがひどくなかったり、ちくのう症でもない場合は手術を受ける必要はないと思いますが、薬で治ることはほとんどありませんし、自然に消滅することもないので、生活に支障をきたす場合は、手術をおすすめいたします。

 

鼻茸の手術

予約制で行ないます。午後の診療が始まる前に行ないます。30分ぐらいかかります。

鼻茸とは

鼻の中に、コンニャクのようにふくれた腫れ物が鼻腔に垂れ下がったものです。
鼻茸の多くは、副鼻腔という鼻の空洞につながっていて、鼻茸だけが病気ではありません。根本的な手術が必要な方もおられます。鼻茸が大きくなると、鼻閉や、臭いがしない、副鼻腔炎の治りが悪いなどの悪影響が出ます。


鼻茸の原因

副鼻腔炎(蓄膿症)が大部分です。
アレルギー性鼻炎に伴う場合もあります。
鼻茸が鼻の後ろの方へ垂れ下がって両側が鼻閉塞になる事もあります。(後鼻孔鼻茸)
まれに腫瘍の一部として鼻茸ができる事もあり、組織の検査が必要になります。
鼻茸は、子供さんにもできることがあります。
恐がらないお子さんでしたら小学校低学年からできます。


麻酔のやり方

麻酔の薬を浸したガーゼを鼻の中に10分ほど挿入します。
注射薬を追加する事もありますが、痛みはほとんど感じません。


手術のやり方

鼻茸のぶよぶよした部分を器械を使って削ります。
血管を傷つけると出血が多い場合もあります。慎重な操作が必要です。
大まかな部分を取った後、レーザー電気凝固で鼻茸を固め、出血を防ぎます。
手術の後、鼻の中にガーゼを詰めます。鼻茸が大きかった場合、ガーゼで鼻が完全に詰まります。この場合、ガーゼが取れるまで少し苦しいです。
1週間以内にガーゼを全部抜いて、その後、経過を診ていきます。


手術後の注意

当日は麻酔が切れると少し痛いことがあります。辛い時は痛み止めを使ってください。
軽い鼻血は、鼻にティッシュか綿を追加して圧迫して下さい。
咽に流れるようにまわる時はご連絡ください。


経過

鼻茸を取ったからといって病気そのものが治ったわけではありません。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の治療を続ける必要があります。
また、鼻茸が再び大きくなる事もあり、場合によっては、再手術も必要です。


清水耳鼻咽喉科 院長 清水祐二